ごあいさつ
東北の手仕事を今の暮らしに伝え残したいと“ゆずりは”を始めて
今春で22年を数えることになりました。こうして“もの”に囲まれていると、
一つひとつが作り手の顔にみえてくるのが不思議です。
作り手を訪ねる旅のくり返しは、遠い道のりも楽しみに変えてくれました。
その人と顔を合わせ暮らしぶりを感じ、息づかいを聞くように手仕事に見入り、
技はもとより自然との関わりやその思いを聞くことには、身に染み渡る
感動がありました。話が生き方に及ぶ時はなおさらでした。そんな時
「あー、この人の仕事を紹介したい!」と心底思い、力が湧いてくるのでした。
作り手と使い手(お客様)の橋渡し役としての“ゆずりは”は
「これでいい。」ということはありませんでした。
作り手とのやりとりの難しさ、
お客様へお伝えする力の無さに、涙も苦悩もありました。
それは“私も相手も人だったから”ということ…。
いつしか、やりがいという喜びに変わり、世の中に関わり、
ささやかでも役に立っていることだったのではと、今にして思うことができます。
厳しい気候風土に育まれてきた東北の手仕事は
“恵まれない条件の中で生み出される知恵と生きる力の尊さ”を
教えてくれました。このことは幾度となく私を支えてくれました。
手仕事には、知恵と工夫と作り手の魂が込められています。
その背景には、どんなに時代が変わっても変わることのない、人としての
“心・精神性”が奥深く厚く、宿っているという気がしてなりません。
手仕事はあと5年から10年とも言われています。
「どんなに美しい仕上げよりも、使われることに勝る仕上げはない」
作り手の言葉が甦ります。使い続けられなければ、作り続けることは叶いません。
高齢者化していく職人の中に若くして手仕事の世界に飛び込んだ人たちもいます。
東北の、日本の、大切な手仕事とその精神文化を微力ながら
広め伝え残していきたいと思うのです。
暮らしのクラフトゆずりは 田中陽子

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