こどもたちよ、 これはゆずりはの木です。 このゆずりはは 新しい葉ができると 入れ代わって古い葉が落ちてしまうのです。 こんなに厚い葉 こんなに大きい葉でも 新しい一葉ができると無造作に落ちる、 新しい葉にいのちを譲って。 こどもたちよ、 おまえたちは何をほしがらないでも すべてのものがおまえたちに譲られるのです。 太陽のまわるかぎり 議られるものは絶えません。 輝ける大都会も そっくりおまえたちが譲り受けるものです、 読みきれないほどの書物も。 読みきれないほどの書物も。 幸福なるこどもたちよ、 おまえたちの手はまだ小さいけれど。 世のおとうさんおかあさんたちは 何一つ持っていかない。 みんなおまえたちに譲っていくために いのちあるものよいもの美しいものを 一生懸命に造っています。 今おまえたちは気がつかないけれど ひとりでにいのちは伸びる。 鳥のように歌い花のように笑っている聞に 気がついてきます。 そしたらこどもたちよ、 もう一度ゆずりはの木の下に立って ゆずりはを見る時がくるでしょう。